米国防戦略・地域分析
2026年米国防戦略と第一列島線の「拒否防衛」

2026年の米国家防衛戦略(NDS)は、中国を「ペーシング・チャレンジ(基準となる挑戦)」と位置づけ、第一列島線に沿った「拒否防衛(denial defense)」の構築を米軍に明確に指示した。同時に、同盟国への負担分担の要求も一段と強まっている。
「対決ではなく強さによる抑止」
2026年NDSの基調は、「対決ではなく強さによってインド太平洋で中国を抑止する」ことにある。北京を地域覇権の追求主体とみなし、いかなる競争相手にも地域支配を許さない「勢力均衡」の維持を目標に掲げる。
第一列島線の拒否防衛
戦略は米軍に対し、日本から台湾、フィリピン、インドネシアへと連なる第一列島線に沿って「強靭な拒否防衛を構築・態勢化・維持する」よう命じた。これは中国の太平洋への容易な軍事アクセスを拒否する地理的要石として位置づけられる。
「拒否防衛」は領域を奪い返す発想ではなく、相手の目的達成コストを耐え難いほど高くする発想である。前方展開・分散・持続の三要素が鍵となる。
予算とインド太平洋抑止イニシアティブ(PDI)
FY2026のPDI要求額は約100億ドル。報道ベースではFY2027に117億ドルへ増額され、演習・訓練・実験に44億ドル、インフラに30億ドル、前方プレゼンスに29億ドルなどが配分される見通しとされる。投資先の内訳は、抑止の実効性が「装備」よりも「態勢と持続」に依存しつつあることを示す。

分析上の要点
- 中国=「ペーシング・チャレンジ」の位置づけは維持。焦点は本土防衛との資源配分。
- 同盟国にコア国防費GDP比3.5%という新たな基準を提示、負担分担を明確化。
- PLAとの軍同士の意思疎通・偶発回避(デコンフリクション)を戦略的安定の柱に。
日本への含意
負担分担の要求強化は、日本の防衛費増額・スタンド・オフ整備と整合的である一方、米国の「西半球(本土)重視」への傾斜は、インド太平洋における同盟国の自立的役割拡大を不可避にする。日本にとっては、第一列島線の要としての役割と、それを支える継戦能力・後方(ロジ)整備の重要性が一段と高まる。
参照(公開情報):
USNI News「2026 U.S. National Defense Strategy」 news.usni.org / FY2026 Pacific Deterrence Initiative comptroller.war.gov / Atlantic Council atlanticcouncil.org
USNI News「2026 U.S. National Defense Strategy」 news.usni.org / FY2026 Pacific Deterrence Initiative comptroller.war.gov / Atlantic Council atlanticcouncil.org