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日本戦略防衛研究ラボ Japan Strategic Defense Research Lab
RESEARCH & ANALYSIS
EST. 2026
防衛力抜本強化・年次分析

過去最大9兆円超の防衛予算 ― スタンド・オフと無人アセットに重心

画像: DVIDS(米国防総省・パブリックドメイン)

2026年度(令和8年度)の防衛関係費は9兆円を突破し、前年度比およそ9.4%増と過去最高を更新した。予算の重心は、反撃能力を担うスタンド・オフ・ミサイルと、沿岸防衛を担う大規模無人アセットへと明確に移りつつある。

スタンド・オフ能力の本格整備

新予算案は、いわゆる「スタンド・オフ」ミサイル能力の強化に9,700億円超を配分した。射程約1,000キロに延伸される12式地対艦誘導弾(能力向上型)の取得が中核であり、相手の脅威圏外から対処する「反撃能力」の実装段階に入ったことを示す。

射程延伸型ミサイルの量産・配備は、抑止の信頼性を「保有」から「運用可能性」へ移す転換点にあたる。焦点は今後、弾数・持続性・目標情報(ISR)との連接に移る。

沿岸を守る大規模無人システム「シールド」

防衛省は約1,000億円を投じ、2028年3月の運用開始を計画する「シールド」構想の下で、監視・防衛用の空・海上・水中ドローンを「大規模に」配備する方針を示した。有人アセットの補完にとどまらず、消耗を許容できる無人戦力を沿岸防衛の一次線に組み込む発想である。

画像: DVIDS(米国防総省・パブリックドメイン)

日本の防衛関係費の推移(当初予算・概算)

09兆 令和6約7.9兆 令和7約8.7兆 令和89兆超
出典:防衛省 予算概要(各年度)より作成。数値は概算・目安。

分析上の要点

  • 予算規模の拡大より、能力の「実装フェーズ」入りが本質的な変化。
  • スタンド・オフの実効性は、目標情報を供給するISR網と一体で評価すべき。
  • 無人アセットの「大規模」配備は、人的制約下の自衛隊にとって戦力構造上の合理性が高い。

同盟・多国間協力の深化

6月16日の防衛大臣会見では、インドネシアとの防衛協力強化(海洋状況を含む情報共有、護衛艦の移転協議など)が具体的に進んでいることが示された。加えて日英伊による次期戦闘機(GCAP)の共同開発は、国際機関GIGOと合弁企業エッジウィングの契約を軸に加速している。日本の防衛力整備は、単独最適から同盟・友好国とのネットワーク最適へと軸足を移している。

評価

2026年度予算は、「防衛力抜本的強化」の3年目として、計画から実装への移行を鮮明にした。今後の論点は、(1)スタンド・オフ弾の継戦能力、(2)無人アセットの指揮統制と法的整理、(3)人的基盤・処遇改善の実効性、の三点に収斂する。数字の大きさよりも、これらの「運用可能性」をどこまで担保できるかが、抑止力の実質を左右する。

参照(公開情報):
防衛省「令和8年度予算案の概要」 mod.go.jp /  防衛大臣記者会見(令和8年6月16日) mod.go.jp /  J ディフェンス ニュース j-defense.ikaros.jp